元調理師のゴン太です。
和食が「無形文化遺産」に登録されたのが2013年。
日本人の伝統的な食文化が登録され、世界中から注目を集めていますね。
栄養バランスと見た目の美しさ、行事との関わりはとても奥深いものです。
しかし、「和食」にも種類があります。
そこで和食をもっと知ってほしいため、自分の経験を知識を活かして紹介していきます。
懐石料理とは
会席料理の基本は、「一汁三菜」と呼ばれ「ご飯」「汁物」「おかず3品」と「香の物」で成り立っています。
お茶を美味しくいただくためのお食事として提供。
和室(茶室)でこじんまりとした場所で食べることが多いです。
一汁三菜ですが、今では+αのメニューで食べられることがほとんどでしょう。
日本らしく四季を味わえることと、少量を多種類バランスよくいただけます。
懐石料理の由来
なぜ懐石料理が誕生したのでしょう。
「懐石」とは、懐(ふところ)の石(いし)と書きますね。
修行僧が空腹を耐えるために使用した「温石(おんじゃく)」からきています。
冷えた体を温めるため、温めた石を胸やお腹に入れておくことで修行に耐えていました。
修行の身ですので、食事は1日1食。
体を温めるということは、1日1度の食事のように大事な事です。
そこから、空腹を和らげるくらいの軽い食事を「懐石」と呼ぶようになりました。
軽い食事として誕生したのは、茶道で有名な千利休からです。
千利休のお茶会では、始めに軽い食事が用意。
その方がより濃いお茶を楽しめるためで、お茶を楽しむための料理として「茶懐石」が誕生したのです。
修行僧が食べる食事 → 千利休によって庶民的 → おもてなし料理へ
懐石料理の漢字の意味や、懐石料理が何のために誕生したか分かりましたね。
食べ方やマナー
では、次に食べ方やマナーについて知っておきましょう。
懐石料理は、一汁三菜が基本でしたね。
食べ方も大事です。
- お箸は、先3㎝以上は汚さない
- 汚れは懐紙でふき取る
- 食べ終わった器は重ねない・椀蓋はかぶせる
- 手皿はマナー違反
座り方や身だしなみも、お食事の際には気を付けましょう。
では、懐石料理の紹介です。
折敷
「ようこそ」というおもてなしの心から、まず少量の「ご飯・汁・向付」が運ばれます。
- ご飯:炊きたてのもの
- 汁:味噌汁 (植物性が主役)
- 向付:魚の刺身や酢の物
椀物
椀物が懐石料理のメインでもあります。
大きめな椀に、季節ものの野菜や肉、魚などが盛られています。
折敷で運ばれたのは味噌汁ですが、椀物は「すまし汁」が一般的です。
焼き物
次は、旬の魚の焼き物です。
1つのお皿に人数分盛られるため、自分の食べる分を取り分けます。
… ここまで 「一汁三菜」を指します …
預け鉢(強肴)
預け鉢は、強肴とも言って「強いてすすめる肴」のことです。
流派によって違っていて、八寸の後に出されものを強肴と称していることもあります。
漢字は「肴」ですが、炊き合わせや酢の物などの料理が多いです。
吸い物
ここで食事の最後になるお吸い物です。
「箸洗い」とも言われ、口休めにさっぱりした味付けになっています。
昆布だしや白湯といった汁物が少量、蓋つきの小さな椀に盛られています。
八寸
八寸は24.2㎝四方の角盆で運ばれてくる酒の肴です。
海の幸と山の幸、肴の珍味が盛られているのが一般的。
見た目の美しさや四季折々を感じられるのが八寸です。
湯桶・香の物
次に、湯桶と香の物で締めくくります。
湯桶はお米のおこげを指し、熱湯を入れて湯漬けにしていただきます。
香の物は数種類のお漬物ですので、湯漬けと相性がいいです。
甘味
甘味と合わせて、濃茶も運ばれてきます。
甘味は、お茶の味を引き立たせてくれる和菓子がほとんどです。
黒文字という楊枝でいただくのが一般的となっています。
会席料理とは違うの?
同じ「かいせきりょうり」で、漢字が違う会席料理もあります。
混同されやすいですが、懐石料理と会席料理は違います!
懐石料理は、先ほどの解説どおり「お茶」のために誕生した料理です。
会席料理は、「和食のフルコース」で宴会などに出されるため「お酒」のための料理となります。
大まかな違いは、「お茶」か「お酒」です。
品数も会席料理の方が多くなっています。
「会う」「席」なので人と楽しむことに重きを置いていることで、細かいマナーや食べ方もありません。
まとめ
今回は、懐石料理についてまとめました。
- 懐石料理とは、一汁三菜を指す
- 折敷→椀物→焼き物→預鉢→吸い物→八寸→湯桶・香の物→甘味
- 会席料理はお酒を楽しむ料理で品数も多い
以上のことが分かりました。
日本ならではの四季の楽しみ方は、食事でも充分楽しめますよ。